アイドレス秘宝館サンプル

ツアーズからアイドレスの間の話を。

 イリューシア音楽院での研究者のポストが無事決まり、実家に報告に向かっている。10kgは軽く超えるコントラバスを左に抱え、空いた右手にトランクを持ち雪道を歩く。進めば進むほど詩歌藩国によくみられる針葉樹林が深くなってくる。

 荷物の重みにげんなりし始めているかなでしに対し、娘、実紗期の足取りは軽い。

 実紗期はかなでしが音楽院の学生だったときに課題をこなそうと宇宙旅行に行った際旅先で出会った子で、本人の希望もあってかなでしが育てることになった。ちなみに今回の帰省が実紗期の初めての実家訪問で、おじいちゃんとおばあちゃんに折り紙やお手紙を渡すんだと一週間以上前から色々と準備していたようだ。

 疲れてない?大丈夫?と実紗期に語りかけてみる。

「お姉ちゃん、お姉ちゃんが話してくれるお家っておうとにあるのにすごく歩いたりきしゃに乗ったりして、ぼうけんしてるみたいだね!」

「実紗期ちゃんは音楽院から離れるの初めてだからね〜、詩歌藩国の領地はとても広大でそれ故必然的に王都も広大なものとなり、王都から出るのもとても大変なのよ〜〜〜。でも、他の国だととっくの昔に都からは出ていて郊外を抜け、過疎地に向かっているくらいの時間が経ってるからね。実紗期ちゃんはえらいね〜〜。」

 急に早口になるかなでし。そんな話をしていると遠くに一軒の家が見えてくる。かなでしの実家である。何を隠そう、ド田舎だ。